2015年1月4日日曜日

DIGGIN' IN THE CARTS 感想まとめ

新年一発目は、お正月休みでようやく全編観ることができたので、この感想から書きたいと思いますw

ディギン イン ザ カーツ

日本のゲーム音楽の歴史を追ったドキュメンタリー映像。
・・・以前見た、ゲーセンの変遷を追った『100 Yen Film THE JAPANESE ARCADE EXPERIENCE』の時も思ったけど、これがなぜ本家日本で作られないのか・・・という憤りはあるんですが、兎にも角にもこういう深く経緯を掘り下げたゲーム系の映像が作られるのは嬉しい限り。

しかも、こちらはWebで公開ということで、全編無料で見ることができます!

こんな貴重な資料を制作して下さったRedBullに感謝・・・

RedBullMusicAcademyはゲーム以外の普通の音楽の特集の方が多いみたいだけど、たまに今回のゲームミュージック特集やら、初音ミク含むボーカロイド特集もやっていて、興味をそそられます。

RedBullって飲料メーカーだろうに、こういうことに大きくお金をかけてくれるってすごいよな・・・ゲーム大会を主催してくれていたり、こういう映像を制作してくれていたり。

一ゲームファンとして、RedBullを応援したくなりましたw
(もちろん、こういうイメージアップ戦略も含めての活動なんだろうけどw)


ってことで、このDIGGIN' IN THE CARTS

まずは、
【予告編】


どこかで聞いたことあるBGMをバックに、古代祐三さん・植松伸夫さん・光吉猛修さん等々今でも一線で活躍する方々が続々登場。

日本にいるおっさんゲーマーなら、誰か一人くらいは名前を知っててもおかしくない、そうそうたるメンツなんですが、これが海を越えた方々にも同じように懐かしく、8bit・16bitサウンドを聞いて育ったんだ、なんてセリフを聞くと、ちょっとびっくりしますねw

そして、同時にちょっと誇らしい気持ちにもなりますw
自分が思ってた以上に、日本のゲームミュージックって世界中で愛されていたんだなぁ・・・と。

ってことで本編。
本編は全6章から構成されています。

Episode 1: テレビゲームミュージックの到来(THE RISE OF VGM)
Episode 2: 次元を越えた8ビットの世界(THE OUTER REACHES OF 8BIT)
Episode 3: 新時代の夜明け(THE DAWN OF A NEW ERA)
Episode 4: クール・キッズ(THE COOL KID)
Episode 5: ロールプレイが叶えた夢(THE ROLE OF ROLE PLAY)
Episode 6: 終わりが告げた始まり(THE END OF AN ERA)

一話15分程度なんで、全部合わせて90分くらいでしょうか。
ほんと、ドキュメント映画を見る感じで観賞できますw

ってことで、エピソードごとの感想何かをつらつらと・・・



【Episode 1: テレビゲームミュージックの到来】



アタリのポンから、インベーダー。
ただの電子音、SEにメロディがついた最初はインベーダー?
この辺は自分も知らない世代なんですが、当時のインベーダーのインパクトは凄かったんですねぇ・・・

そして、ゲーセンで着実に進化していたゲームサウンドが、ファミコンの登場により一気に全世界へ。
映像の中で、自分は全く知らないけれど、おそらく海外では有名なミュージシャンの方々が、こぞってゲーセンやファミコンの思い出話をする様はちょっと笑ってしまいましたw

「よくファミコンのカードリッジに息を吹きかけてさ」

なんて、自分の周りの話か!wと思うほどw
これが外国人のセリフとは信じられないw

そして、ゲームミュージック黎明期の立役者として登場した二人。
ナムコの小沢純子さんと任天堂の田中宏和さん。

ラリーX、パックマン・・・ナムコはゲームミュージックの始祖だったんですねぇ
そのナムコサウンドの原型を作った人として、小沢純子さんが紹介されていました。

自分も相当思い出深い「ドルアーガの塔」も小沢さんが作っていたとは・・・
(知りませんでした;)

「ドルアーガの塔」の実際の基板や、小沢さんの手書きの波形ライブラリ等々、見てて興味深いものも。

「8bit音楽も楽器の一つ。チープさも個性でしょ」

と、明るく笑う小沢さんが印象的でした。

もう一人の田中宏和さんは「バルーンファイト」や「パルテナの鏡」とか、こちらもすごく思い入れ深い曲の作者さん。
ファミコンになって、サウンドドライバが共通化することで、量産化しやくなった話しは興味深かったです。

そして、二人に共通してたのは、とにかく「挑戦を楽しんだ」姿勢です。

当時、コンピューターサウンドは世界中見渡しても未知の領域で、いわゆる定石なんかもない状態で、会社も若く、とにかく色々試行錯誤した、そしてそれが楽しかった、と。

そんな前向きに挑戦した結果が、誰も聞いたことのない新しい音楽の領域を広げていったのかなぁ・・・と思わずにはいられない、そんなお二人の回顧録でした。

小沢さんの「クラブ活動、サークルのノリ」ってセリフが同じくゲーム業界の片隅で禄を食む者としてはちょっと羨ましかったりw



【Episode 2: 次元を越えた8ビットの世界】



黎明期のナムコ、任天堂のエピソードの次は、ざっくりコナミとSUNSOFTのお話し。

「悪魔城ドラキュラ」は今聞いても、何度聞いても聞き入ってしまう、自分の中でもかなり思い入れ深いタイトルです。
どの曲もすごい。
ディギンイン・ザカーツの予告編で使われてたのも「悪魔城ドラキュラ」でしたねw

例によってよく知らない海外のアーティストが「悪魔城ドラキュラ」を褒めちぎってましたw
あと、「魂斗羅」
こちらは自分はプレイしたことないんですけど、曲を聞いてるとちょっとやりたくなりますね。

ファミコンでは本体内蔵のサウンドドライバで曲を作れるのに、音色を増やすためにカセット側の基板に独自のサウンドチップを増やしていたという話しはなるほど・・・の一言。
今はROM売りになって久しいのでもう記憶の彼方ですけど、RAMチップ積んでセーブ領域増やしたりとか、当時のファミコンって独自仕様のカセット結構あったらしいんですよねw

そして、当時高度な技術力と高い完成度で王道をいったコナミに対し、中小メーカーで売上はパッとしなかったもののマニアックな人気を獲得していたのがSUNSOFT。
SUNSOFTの影山雅司さんは既にゲーム音楽からは一線を退いていて、当時自分の音楽がどう受け止められていたのかも知らなかったと語ります。

・・・言われてみれば、ファミコン全盛期には当然ネットとかはなくて・・・
売上以外にゲームの評価って分からない時代なんですよね。
しかも、その中の音楽がどういう位置づけだったかなんて、それこそタイトルの評価以上に分からないですよね。

近年になって、海外のアーティストから影響を受けた、なんて声を聞き音楽の道に戻ってきている・・・そんな話を聞くと、ちょっと時代を感じます。
ネットの功罪はいろいろあれど、多くの人の声がクリエイターに直接届いて、その結果背中を押された人がいるっていうのはやっぱりすごい話しだよな・・・

この辺りになると知らないタイトルも多かったんですけど、ちょっとプレイしたくなりましたw
3DSのアーカイブとかでやれたりするのかな?;



【Episode 3: 新時代の夜明け】



16bitゲーム機(PCエンジン、メガドライブ、スーパーファミコン)の登場により、グラフィックも音楽も表現力が大幅に向上!

この辺りから自分も知っている時代になってきますw

この章で取り上げられるのはCAPCOMのストリートファイターⅡ!
下村陽子さんという方が作られてたんですね・・・

世界中から参戦するストリートファイターに合わせ、曲も各国・各キャラクターをモチーフにしよう!と、日本は日本らしく、中国は中国らしく、な曲を作られた経緯が語られます。

そして、またもよく分からないけど多分著名であろう外国人が各々スト2の思い出を語りまくりますw

「昇竜拳(SHO-RYU-KEN!)」や「どすこい(DOSUKOI)」がそのまま海外でも通用する単語になっているとは・・・w

あの頃、テキストは海外対応してもセリフは別収録してなかったのかな?w



【Episode 4: クール・キッズ】



来ました! ぶっちゃけ、セガ特集!w

日本では任天堂が強すぎて、いまいちピンと来ないメガドライブですが・・・
海外ではほんと、評価高いんですよね。

スペースハリアー、アウトラン、アフターバーナー。
この辺は自分も知ってる名曲揃い!

またしても、よく知らない海外アーティストがべた褒めですw

セガからはmaimaiでもお馴染み、Hiro師匠が登場!
・・・この人、未だに一線で活躍してる(maimaiライブとかもやってる)けど、この手のゲームの歴史には必ず声がかかる伝説級の人なんだよなぁ・・・(100YEN FILMの時にもいたし)

そして、古代祐三。
個人的には『イース』や『ソーサリアン』の作曲者として知ってたんだけど、『ベアナックル』の作曲者として紹介。

「FM音源の魔術師」と評され、ゲームミュージックコンポーザーの地位を引き上げた人、と説明されていました。
(彼以降から、ゲームのクレジットに作曲者の名前が載るようになったとか・・・ ただ、それに関しては1話の小沢さんが言ってたように引き抜き防止の面もあったような気もするけど)

初代ソニック・ザ・ヘッジホッグが紹介されていたり、聞いたことある曲も多くて、見どころ満載でしたw



【Episode 5: ロールプレイが叶えた夢】



こちらは植松さん特集!

FF、植松伸夫さんと言えば、今回の企画の中で同年代のゲーマーにとって最も知名度の高いゲーム作曲者じゃないでしょうか?w

映像中の曲も、FFシリーズ通してやったことない自分ですら聞いたことのある曲ばかりで、身震いしました。
(曲に馴染みがあるのは、「シアトリズムファイナルファンタジー」のお陰かもしれませんがw)

オーケストラの映像も流れてくるんですが、本当に圧巻の一言。

植松さんは海外のこれを見て、日本でもやりたいと思い、『ファミ通PRESS START』のきっかけにもなったんじゃないかなぁ・・・って感じるほど。

FFの曲でもお馴染みの、タイトル中の「プレリュード」のエピソードには笑ってしまいましたがw



【Episode 6: 終わりが告げた始まり】



ラストはPS以降のお話。
もう、いわゆるピコピコサウンドではなく、CD音源をそのまま使えるようになったゲーム音楽の話です。

その前の章まで、「音を出すまでにこんなに苦労していた」「制約の中での挑戦だった」みたいな話しが多かったのに、この章では「イメージしたものがダイレクトに表現できるようになった」と、だいぶ前向きなセリフがちらほら・・・w

こと楽曲に関して、技術的な制約はほとんどなくなってきたと感じさせるインタビューでした(後、あるとしたら容量問題とかかな・・・)

ハリウッドとの対比。
リアルタイムに変化する状況からのサウンドとの一体感。
その辺が語られていました。

最後はまとめの言葉。
こと、音楽に関して、日本発で世界に認められたジャンルって、実はゲーム音楽くらいじゃないの?
もっとその事が周知されてもいいんじゃないの?

そんな事を感じるまとめでした。






・・・っというわけで、このディギンイン・ザカーツ(DIGGIN' IN THE CARTS)。
タイトルの由来、CARTSはカードリッジ、ファミコンカセットのことで、DIGは掘る。ファミコンを掘り下げるっていうニュアンスだと思うんですが、タイトルに恥じない、非常に深く掘り下げられた素晴らしい作品だと思います。

唯一、予告編では登場してる光吉さんがカットされてたのが残念・・・;
きっとインタビュー的にはCOOL KIDのHiro師匠と同じタイミングで撮ってあったと思うんだけどなー
・・・15分制限でカットされちゃったのかなぁ・・・

できたら、この失われた光吉猛修インタビューもおまけに付けて、DVD版とか出してくれないかなーw

とか、考えてしまう今日この頃ですw

個人的には、

Episode 5: FF、植松さんファンの方に是非!
Episode 4: アウトラン時代のゲーセン、セガファンの方に是非!
Episode 2: ファミコン版悪魔城ドラキュラ、魂斗羅に思い入れのある方向け
Episode 1: 初期のゲーム音楽の歴史。ドルアーガやファミコン好きの方に
Episode 3: スト2に思い入れのある人向け
Episode 6: 鉄拳、メタルギアソリッドに思い入れのある人向け

ざっくり、お勧めポイントを上げるとこんな感じ。
ちなみに、お勧め順ですw

時代背景に興味があったり、思い入れのあるタイトルの方が楽しめるかと思います。
後、自分は全然ぴんと来なかったけど、熱弁する外人の方を知ってると、また感慨が違うのかも・・・
「自分はゲーム音楽を聞いて育って、今◯◯をしてる」的なセリフもあったので、おそらく海外のアーティストだったりするんでしょうけど、「なんと!この人もゲーム音楽に影響を受けて!?」みたいな驚きが全く感じることが出来なかったので・・・
その辺は、もっと知ってると違ったんだろうなぁとは思います。

ともあれ、ゲーム音楽から見たゲーム史の変遷や、各タイトルの音楽的評価、当時の作者の生の声が聴ける、非常に見応えのある映像でした。

1章ごとにはそれ程長いものでもないし、お勧めですw

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